日時:2006年6月24 日(土)14:00~16:00
場所:日本大学生物資源科学部本館7階71教室(神奈川県藤沢市)
テーマ:ブルキナファソとブータンの雑穀-近代化と雑穀を取りまく現状-
1)「ブルキナファソにおける雑穀栽培の現況」 倉内伸幸 (日本大学生物資源科学部)
自然環 境と農業の概要、穀物の栽培地分布。北部・中部はトウジンビエとモロコシ、南部はトウモロコシの栽培が多い。粉食で飲み込む食文化である。アフリカイネは ほとんど見られず、インディカが多い。水利がよいので、ネリカは作らない。アニマルフォニオは見なかった。これはセネガルではトー(平たい団子様の食品) にして食べている。トウモロコシのトーはオクラなどのソースをつけて食べる。牛乳粥も食べる。トウジンビエはたこ焼き様の食品を油であげて作る。フーフー も作る。ドロ(ビール):発芽したモロコシ粒を煮て甕に入れ、ドロを加えて3-4日発酵させる。
(質問など)ラオスでは、近年炊飯器が普及して、モチ米を食べ なくなってきたが、ブルキナファソでは、このような調理法の変化はあるのか。ここでは変化は少なく、伝統的な調理法が保たれている。
2)「ブータンにおける雑穀の利用の変化と山菜」 根本和洋(信州大学大学院 農学研究科)
自然環境の概要。森とであった遊牧民(栗田 1986)。西部 はイネ、東部はとうもろこしが多い。雑穀類の収集には関心がなく、ジーンバンクの収集系統は少ない。アワ10系 統が試験されていた。ジュズダマの首飾りがあった。赤米、カラン(トウモロコシの引き割り)、エマ・ダチ(トウガラシ、チーズ料理)、ケワ・ダチ(ジャガ イモチーズ)、ナケ・ダチ(ワラビ・ゼンマイ、チーズ料理)。ソバはプッタ(押し出し麺、ゆでて油であえる)とクレ(ホットケーキ様の食品)する。焼畑が 近年禁止され、雑穀栽培が減少した。ソバとシコクビエは比較的残っている。ブムタン2600mにも水稲栽培が見られた。インドからイネを輸入している。ソ バをジャガイモ栽培に切り替えて、インドに輸出している。ダッタンソバは薬用として少し栽培している。普通ソバは青刈りして家畜の飼料にもする。野菜栽培 が1970年代に普及して、野生植物の利用は減り、伝統的な知識が失われつつある。イラクサはスープに入れる。野生のアスパラガスがある。ウワバミソウ、 ドクダミ、シダ類など苦味のある草本の利用が多い。マムシグサは有毒で利用法は不明。21科30種の野生種の利用が確認できた。ハヤトウリの地下茎も売っ ていて食べる。
(質問など)きのこの利用法の調査はあるのか。キネマ(納豆) はネパール系ブータン人が食べている。ソバ粉はすぐに乳酸発酵してしまうが、こうした酸味、苦味の嗜好があるのか。