2003年5月10日

第3回 春の勉強会 2003年5月10日開催

日時:2003年5月10日(土)13:30~17:30 
場所:日本大学生 物資源科学部本館(神奈川県藤沢市)
テーマ:アンデス高地の雑穀キノア
1)「日本におけるキノアの栽培について」   氏家和広(日本大学大学院生物資源生産科学専攻)
 キノアの品種は,起源地によりAltiplano, Salar,Sea-level,Valleyの4つに分類される.これらを3~9月の間に播種した ところ,播種期によって収量が異なった.すなわち,Sea-levelタイプは3月に,Altiplano,Salar,Valleyタイプは7月に播種 することで多収となった.さらに全てのタイプ,全ての播種期を通じて,最も収量が多くなったのはSea-levelタイプの3月播種であった.また, Sea-levelタイプの中では,NL-6が最も多収となった.単位面積当りの収量は,栽植密度により異なり,平方メートル当り10個体より,200個 体の方が多く,10a当りで400kgを越えることも可能である.高土壌水分による生育阻害はアマランサスより大きく,出芽率や粒数が著しく低下した.し たがって,水はけの悪い水田転換畑などでの栽培には向かないと考えられる.
2)「キノア種子の栄養食品学的特性」  小西洋太郎(大阪市 立大学大学院生活科学研究科)
 南米アンデス地方原産の栽培作物キノア(Chenpodium quinoa Willd.)は、アマランス(Amaranthus spp.)とともに、高タンパク・高ミネラル食材として注目されている。キノアの種子は直径約2.5 mmの凸レンズ状であり、リング状の胚(タンパク質、脂質、ミネラルが分布)が外胚乳(澱粉貯蔵組織)を取りまく構造をしている。果皮・種皮にはサポニ ン、食物繊維が多く分布している。 低利用作物キノアの利用拡大計画として、演者らはキノア種子の各組織(果皮、外胚乳、胚)の分画や発芽種子の化学成分 の分析を行っている。本講演では、特に澱粉、ミネラル、生理活性成分(コレステロール低下作用)について紹介したい。